彫刻の素材と技法

 彫刻作品は、さまざまな素材を彫り刻んだり、組み合わせや積層したりする事によって立体的に表現された作品です。その対象は人間や動物等、具体的なものが多いですが、昨今は表現が多様化し、いろいろな形態の作品が彫刻と呼ばれる事も多くなっております。

 粘土の様な可塑性のある素材を付けたり削ったりして作品を作る技法を彫塑(モデリング)と呼びます。それに対して木や石を彫り刻む事により作品を作る技法を彫刻(カービング)と呼びます。それぞれ分けて言われる事もありますが、一般的には全て彫刻と言われる事が多いです。

 その他、金属の溶接や銅板の打ち出し、漆を使った乾漆、粘土を焼成した陶彫等、さまざまな素材、技法があります。

木彫

木を素材として彫り刻む事により制作された作品です。日本では古くから仏像を始め、さまざまな木彫作品があります。木は身近な素材で檜、楠、欅、桂等さまざまな種類のものが使われます。

石彫

石を素材として木彫同様カービング技法で制作された作品です。花崗岩、大理石、砂岩等さまざまな種類の石材が使われますが、それぞれいろいろな性質があり、制作には難しい部分もあります。

ブロンズ

青銅の事です。青銅は銅と錫の合金で、とても歴史の古い素材です。粘土等で作られた作品は型取り技法により一度石膏、樹脂の素材に置き換えられ、最終的に鋳造によって青銅になります。

石膏

粘土により作られた作品を型取り技法により石膏素材に置き換えたものです。着色して完成作品にする場合と、さらに鋳造する事によりブロンズを最終素材とする場合があります。

樹脂

石膏と同様に、粘土で作られた作品を樹脂に置き換える事もあります。通常はもう一度鋳造によりプロンズにしますが、樹脂は丈夫な素材で、そのまま着色して最終素材とする事もあります。

陶彫

陶芸用粘土で制作された作品を焼成したもの。独特の風合いがあり、釉薬のかかったものもあります。

テラコッタ

イタリア語で焼いた土、素焼きを意味します。通常800度程度で焼成され、赤みのある茶褐色の色彩で素朴な色合いがあります。

乾漆

粘土等で型を作り麻布を漆で張り重ねたり、石膏の雌型に麻布を漆で張り重ね脱型したものに、漆と木粉を練り合わせたもので形を作ったものです。

その他

鉄やステンレス、紙、ガラス、繊維等、さまざまな素材が使われる事もあります。又、それらの組み合わせにより新しい表現も試みられております。