第一科 日本画

日展会員賞

川嶋 渉かわしま わたる

会員・審査員

泣く雨

224×174

受賞理由

 何よりも特筆すべきは、その表現力の高さと強さである。雨は、白い直線によって表わされるだけでなく、画面全体に大胆に垂らされた顔料によっても表現されている。その二つがあいまって悲しみの感情が見事に伝わってくる作品となっている。雨の白い線も決して多くはなく抑制されており、それもまた感情の表現を高めていよう。

作家のことば

 あの日からだろうか、降る雨が泣いているように思えるのは。
 母を見送って一年。今、淡々と日々を過ごす。雨は降る。さめざめと。私の心が晴れるまで。