第五科 書

高木厚人たかぎ あつひと

会員

山ざと

かな 70×225

作家のことば

 例年のように好きな西行を書いた。控えめな書き出し、中央での豊かな景色の演出、そして自然な結び。構成は例年とほぼ同じだが、本作品は清々しくそれでいて力強くと念じて筆を進めた。中央部の墨の残し方にも注意を払った。

山ざとは秋のすゑにぞおもひしる
かなしかりけり木がらしの風
弓はりの月にはづれてみしかげの
やさしかりしはいつか忘れむ
(以下略)