東京都知事賞
田頭一舟
会員
風華
かな
71×235
受賞理由
仮名のもつ優美な造形に、各行の響き合い、それぞれの行のゆらぎの変化にも工夫が加えられて、余白の美しい作品となっている。加えて、装飾料紙と筆線が巧くからみ合う。色彩のある部分には墨量を多く、白い部分には渇筆を巧妙に配した技法もすぐれ、仮名作品の横披作の要諦にかなう作品。筆線も厳しさの中に仮名の優美な連綿も見事。賞にふさわしい傑作といえる。
作家のことば
今回は行の揺れ、響き合いを意識しながら自然な流動美を追求いたしました。また心の鼓動を感じながら一線一点の強さ、瞬間瞬間に表出する線、大字の大小細太関係等感情線を移入するように、根底には古典の延長線上にを求めることは多岐です。歌は古今和歌集の四季に流れる風を想いながら書作いたしました。
心ざしふかくそめてしをりければ
きえあへぬ雪の花とみゆらん
春くればかりかへるなり白雲の
道行きぶりに事やつてまし
(以下略)