第五科 書

倉橋奇艸くらはし きそう

会員

印南国原

かな 236×72

作家のことば

 この夏、「聖地南山城」展で目にした木簡。小さな木片には万葉歌が記されていた。それに触発されて臨んだ今回の日展。中大兄皇子の三山の歌の反歌を、仮名文字が完成する以前のスタイルを取り入れて書き進んだ。文字の大小・墨の潤渇等、書くほどに計算や作意が勝り、純朴な万葉人の書とは反対の作になった感がある。

香具山と耳梨山とあひし時
立ちて見に来し印南国原