河合鷹山
特選
もみぢ
かな
53×227
受賞理由
縦に流れ横に展開する仮名本来の連綿を加えた美しさを生かしながらの横物作品です。全体の雰囲気の中に序・破・急を感じさせる時間経過をみせ、濃淡潤渇の変化、粗密や強弱の変化等様々な要素を含み、行間の響き合いの美しさが感じられる作品です。
作家のことば
万葉集より秋の木々がもみつ(色づく)さまを詠んだ和歌三首を題材として、二・二八尺横作品に展開しました、仮名書の様々な美しさの要素を意識しつつ、穏やかさのなかに厳しい線を表現したいと書き込みましたが、力不足を痛感したところです。さらに奥行きのある作品を目指し、研鑽すべき課題を発見できたことが収穫です。
春日野に時雨降る見ゆ明日よりは
黄葉かざさむ高円の山
雁が音の寒き朝明けの露ならし
春日の山をにほはすものは
(以下略)