第五科 書

清水透石しみず とうせき

会員

四季の歌

235×70

作家のことば

 長塚節の「写生の歌」に詠まれている「気品・冴え」を紙面上に表現したいと願って制作した。
 墨色の変化、潤渇、文字の太細、連綿、行間の白など、長塚節の歌を借り、一本の筆でどこまで自身の思いに迫れるか。気負いはないが、「やや満足な作」に辿りつく日は来るのだろうかとの思いで時を刻んでの、道半ばの作である。

〈釈文〉
春の夜の枕のともし消しもあへず
うつらうつらいねてきく雨
夏帽の堅きが鍔に落ちふれて
松葉は散りぬこのしづけさに
(以下略)