第五科 書

文部科学大臣賞

日比野博鳳ひびの はくほう

会員

さくら

71×240

作家のことば

 冬から春へ、日差しが変わり、鶯の声が聞こえる。やがて桜は徐々に木々を染めるが、その時期は短く、散り始める頃となると、次には山深き里の遅咲きの花が出番となる。西行の和歌から選歌して古来変わらないこの時間軸を、書という平面の中に落とし込んでみようと考えた。日本人の春に抱く美のイメージをテーマとして。

〈釈文〉
鴬の聲ぞ霞にもれてくる
人めともしき春の山里
おのづから来る人あらばもろともに
ながめまほしき山桜かな
(以下略)