第五科 書

吉澤劉石よしざわ りゅうせき

会員

富士の嶺

85×166

作家のことば

 万葉集の中から、富士山に関わる歌二首を選びました。墨法による紙面全体の《景色観》を基本構想の第一に据え、切断と連綿の効果を交えながら絵画的要素を意識してみました。「線」「墨」「形」の三要素を書作の際に十分表現できないものかと、試行錯誤の毎日です。

〈釈文〉
富士の嶺を高み恐み天雲も
い行きはばかりたなびくものを
富士の嶺に降り置きし雪は六月の
十五日消ぬればその夜降りけり