第五科 書

倉橋奇艸くらはし きそう

準会員・審査員

貧窮問答歌 一

103×147

作家のことば

 貧しさに苦しむ人々に寄り添う、憶良の貧窮問答歌。今の世でも迫り来るものがあります。漢字は仮名に変換せず、仮名はその形が完成する以前の姿を用いてこの歌に取り組みました。書くほどに作意にみち、飾りのない万葉の趣とは遠い作となりましたが、書友が残してくれた数枚の紙を使い、出品作と致しました。

〈釈文〉
風雑り雨降る夜の雨雑り雪降る夜は
術もなく寒くしあれば堅塩を
取りつづしろひ糟湯酒うち啜ろひて
咳かひ鼻びしびしに
(以下略)