第五科 書

寺坂昌三てらさか まさみ

準会員・審査員

雪・梅・桜

75×210

作家のことば

 白梅に雪が積もり、いずれが雪か花か見紛うばかりの庭、桜が雪かと見誤るほどに咲きみだれている吉野の山、これらを詠んだ紀友則の和歌二首を書きました。
 日本の四季で最も美しい情景の一つ一つを、日本独自の文字である仮名の造形や行の流れ、潤渇の変化、余白の工夫等で表現したいと念じました。

〈釈文〉
雪降れば木ごとに花ぞ咲きにける
いづれを梅とわきて折らまし
みよし野の山辺にさける桜花
雪かとのみぞあやまたれける