第五科 書

特選

大田鵬雨おおた ほうう

明星上

作家のことば

 深まる秋の夜、静かな山房での情景を詠んだ詩を選びました。本年、霊峰大峰山登頂も選文の一因です。「古典に基づく」を根本に、明末倪元璐の強靭な線、空間の疎密、墨の潤渇を追い制作にあたりました。絹本、濃墨、兼毫筆使用はそれを具体化するためです。たくさん用意した絹本も最後には数枚になるほど、難渋を極めた末の出品作です。

〈釈文〉
寥寥青蓮宇 起歩夜方永 蟲鳴四山穐 鹿飲一潭靜
圓月當碧空 孤塔立無影 花落樹猶香 竹深㵎亦冷
少焉雲英散 明星上高嶺