第五科 書

特選

豊原睦子とよはら むつこ

朝川渡る

作家のことば

 今回の作品では、線の一画一画に心を込め「流麗の美」と「切断の美」を表現し、行と行の間にもリズムを持たせながら、あわせて墨の濃淡に留意することで「墨法の美」にも挑戦いたしました。しかしながら日頃の勉強がまだまだ不足しているために、きちんと運筆できていないところも目につきますので、賞に恥じないように今後一層精進いたします。

〈釈文〉
秋の田の穗向の寄れること寄りに
君に寄りなな事痛かりとも
人言を繁み言痛み己が世に
未だ渡らぬ朝川渡る