第一科 日本画

文部科学大臣賞

長谷川喜久はせがわ よしひさ

会員・審査員

緑韻に白く

178×220

受賞理由

 強い光と深い影のコントラストが極めて印象的な作品である。日本画ならではの絵具の発色と輝き、あるいは深みと物質感を発揮しながら、実に象徴的な画面に仕上げている。決して派手で、強く自己主張する絵画ではないが、静かに観れば観るほど、深く豊かな味わいを感得できる絵である。

作家のことば

 夫婦滝を写生しようと思いつき、早朝より車を走らせる。当日の雲ひとつ無い天気は、白く並ぶ二本の瀑布を頭に浮かべていた図よりもはるかに強く美しく見せてくれた。滝壺より少し下りながら周りに目をやると岩の上、まるで生き物のような枝が伸びている。緑と白が調和する静かな風景がそこにあった。