小灘一紀
理事
伊邪那岐命の悲しみ
F130
作家のことば
多くの神々を生んだ妻神の伊邪那美命(いざなみのみこと)は、最後に火の神を生み大火傷の末、黄泉国(よみのくに)に去った。
妻神が恋しく夫神の伊邪那岐命(いざなぎのみこと)は黄泉国まで追って、「帰って欲しい」と懇願する。死者の国で見た妻神の姿は雷神(いかずちのかみ)や蛆(うじ)がとりつく変わり果てた姿だった。現実に直面する伊邪那岐命の悲しみを描いた。
『古事記』は人の生死を最初に記しているところに意義がある。