第三科 彫刻

内閣総理大臣賞

中原篤徳なかはら あつのり

会員

無垢の予兆

187×57×45

受賞理由

 塑像の石膏作品だが、白一色の表面のディテールに工夫が凝らされ、単純な立像ながらユニークなニュアンスを生み出している。衣装のラフな表現も手足や顔の造作との巧みな対比をなしている。伝統的な技法を、今日的なカジュアルな若者の姿と結び付けている点を評価したい。

作家のことば

 何でもない、どこにでもいる青年の姿を制作したかった。「一つぶの砂に 一つの世界を見る」にはじまるウィリアム・ブレイクの詩『無垢の予兆』から想を得て、塑造による制作を続けた。遠望する瞳が何を見ているのか、かつて青年であった作者自身は揺らいでいるようである。