第三科 彫刻

日展会員賞

伊庭靖二いば やすじ

会員

天平の月を想ふ Ⅲ

170×62×48

受賞理由

 作品全体からの流れが美しい。
 頭部から爪先迄の土の糧塊の使途は的確で見事である。
 本作品完成迄、多くの古寺に通い試作、習作に励まれたことだろう。
 本人が憧れている天平仏像から得た技術が作品の手の表情を強め現代女性のフォルムにうまく合致し、より精神性の高い作品に達している。

作家のことば

 奈良・天平の時代は仏像彫刻に限っていえば傑作が集中した時代であったと思います。平安時代以降、日本の仏像のほとんどが木彫仏になってしまったことに加え、わずか数十年の天平の時代だけが材質や制作方法が塑像(土)や乾漆造であったことを含め、奈良・天平彫刻への興味、関心と憧れは尽きることがありません。