第四科 工芸美術

喜多浩介きた こうすけ

特選

砂海の風

40×67×49

受賞理由

 地球の渇きが風をも化石化させる憂いを優しく表現した本作。有機的な形を覆う貫入状の亀裂は、膨張するかのように設置空間全体を支配する存在感がある。一方で幻惑するようなエロティシズムも兼ね備える非凡さもある。

作家のことば

 渇きはじめる砂の海、いつか吹き荒れる風までもが化石化するのではないだろうか。昨今の自然破壊、異常気象などの危惧からイメージを土と炎という自然物を使い「カタチ」を表現。タタラ成形、手練り成形で形を作り、人間が自然を食い尽くす様を、虫食いのように穴を開け、焼成時に渇きや風化を想像させる釉上に貫入状の亀裂を表現。