第四科 工芸美術

斉藤晴之さいとう はるゆき

特選

始まりの景

78×39×21

受賞理由

 漆の作品である。2つの造形が寄り添った形象。漆の艶有り(呂色仕上)と、艶消し(砂糖乾漆技法)との対比が美しい陰影になっている。素地は漆と布で出来た乾漆になっており見事な作品である。

作家のことば

 漆の艶のある面と艶を消した面が、交互に組み合わされる漆立体。物語の始まりを予感させる風景を表現する。「時の流れ」を意識した「流線の曲面を持った形」と、その「場所を定点」として意識させる「角ばった面を持つ形」が対峙する造形。それは、背景としての建物と自然。そこを訪れた人影のようにも見える心象風景として。