第五科 書

日展会員賞

倉橋奇艸くらはし きそう

会員

茶湯古事談

106×148

受賞理由

 今までに見られなかった新鮮な書き振りで新しい仮名作品の可能性を示すものである。全体のまとまり、抑揚も自然で、好ましい出来となっている。

作家のことば

 千利休生誕五百年の年、「茶湯古事談」を素材に今回の日展に臨んだ。利休、高弟の古田織部、茶の湯の大成者である両者が風炉の灰に思いを寄せるくだり。漢字が多いこともあり放ち書きを主としたが、その中で流れが出ないものかと枚数を重ねた。最後は焼き物の色を思わせる茶の紙にこの箇所を書き、出品作とした。

〈釈文〉同御帰城に由比の浜辺を古田織部重勝か先へ乗行しを、利休跡より馬を速めて乗付、いかに織部殿、此塩浜のけしき茶の湯に思ひ付の
(以下略)