第五科 書

赤澤寧生あかさわ やすお

特選

山襞の影

76×167

受賞理由

 王羲之の用筆を規範に抑揚の効いた深い線とリズミカルな運筆が躍動感のある現代性豊かな作品に仕上がっている。漢字・仮名の調和も良く紙による視覚的効果も可読性を豊かにし、秀作といえる。

作家のことば

 文章から受ける印象や感動を、与えられた紙面に作品として表現しようと心掛けています。今回の題材の俳句では、秋の里山の懐かしい風景が脳裏に浮かびました。その情景を胸に秘めて新鮮な気持ちで筆を躍動させました。秋のイメージとして茶系の画仙紙を使用し、線の太細や潤褐の大胆な変化を意識して立体感を目指しました。

〈釈文〉秋めくや山襞の影深まりぬ