第五科 書

萩野展山はぎの てんざん

特選

徳器

74×162

受賞理由

 古代文字を緻密な構成と明快な筆致によって現代感覚豊かに表現した優作。特に「器」の呼応する「口」四つは千変万化する自然の妙有を内含しているようで、作者の深い見識と書境が伺え、鑑賞者をあきさせない。

作家のことば

 中国古代文字に見る神秘的な造形美に魅了され、長年にわたり金文を基調とした大字作品に取り組んでいます。今作の「徳器」は徳の眼の明瞭さと器の四つの口の筆致の変化を見所として要白に留意しながら強靱な線質と大胆かつ雄渾な表現を試みました。数多くの反古と期間を費やした一作は、記念となる仕上がりになったと思います。